旧ブログで書いた記事をリメイクです。
優待タダ取り?
優待をとるためのクロス取引は、現物株の購入と信用売りを行って、株価の変動を受けないようにする取引方法です。いわゆる「優待タダ取り」と言われることがよくありますが…実際にはタダでは取れません!
そんな甘い話、あるわけないじゃないですか! ・・・というわけで、どんな費用がかかるのかまとめてみました。
1)取引手数料
2)貸株料
3)信用事務管理費
4)逆日歩
5)配当落ち調整金
以下、各費用についてのコメントです。
1)取引手数料
株を買うにも、信用売りするにも、手数料が必要です。
各社でいろいろです。また、一日の総取引額に対して手数料が決まるというような料金体系もありますので、自分の取引に合わせて有利なものを選択することになります。
また、多くの証券会社では、金額が大きくなってくると、信用取引で、制度信用買い→現引き、とした方が手数料が安くなります。制度信用買い→現引き、とした場合、金利も支払うことになります。
なお、制度信用買いの金利も、各社によって微妙に異なります。
金利は「両端入れ」なので、制度買いした日に現引きしても、1日分はとられます。
2)貸株料
各社によって、また長期か短期かによって、利率が異なります。
カブコム長期:0.015
カブコム短期:0.039
SBI5日売:0.039
松井無期限 :0.020
貸株料も両端入れですので、権利付き最終日当日にクロスしても最低2~4日分はとられます。
100万円で1日あたりに直しますと、
カブコム長期:100万×0.015÷365=41円
カブコム短期:100万×0.039÷365=106円
SBI5日売:100万×0.039÷365=106円
松井無期限 :100万×0.020÷365=54円
と、けっこう負担が重いことがわかります^^;
3)信用事務管理費
クロス期間が1か月を超えた場合支払います。(約定日から1か月を超えるごと)
1株あたり10.8銭(税込)、つまり1000株あたり108円のお支払です。
金額が108円に満たない場合には、最低でも108円は支払います。
カブコムやSBIの場合、単元株制度の適用を受けない銘柄については1株あたり108円とられますので、要注意。(いまは、ほぼ単元株制度になってますので大丈夫だと思いますが、1か月以上クロスする場合には確認することをお勧めします)
4)逆日歩
これが一番問題。
制度信用売りが増えると発生する費用。
権利日前には信用売りする人が増えますので、発生することが多いです。
取引価格によって、最大逆日歩の金額(料率)が設定されています。
よく「逆日歩」と言いますが「品貸料」とも言います。
↓日証金のHPです。ここの最高料率というところ「最高料率早見表(株式)」がダウンロードできます。
品貸料について
例えば、100株で1450円の銘柄をクロスした場合の最大逆日歩は表から1株当たり3円です。つまり、100株なら、1日あたり300円ということになります。
ところが、権利日前は、上記の表の逆日歩が4倍になるので注意してください。
1日あたり、300円×4倍=1200円 となります。
さらにさらに、売り手が多くなると注意喚起が出ることがあります。
注意喚起が出ると、最大逆日歩は8倍になります!
1日あたり、300円×8倍=2400円 です。
さらにさらにさらに…
これは1日あたりですので、土日をまたぐ場合、100株3日間では…
注意喚起無し:1200円×3日=3600円
注意喚起あり:2400円×3日=7200円
ちなみに、貸株があまりに多くなると、品貸料率が10倍になることもあります!!
これは、日証金から発表されますので、要注意です。
とまあ、逆日歩は、どんどん高額になっていくわけで、優待品以上の逆日歩を支払うことも多くあります。最高逆日歩は、現在、いろんなブログで紹介されていますので、そちらを参考にしてもいいですが、この最高料率表をダウンロードしておけば、すぐに自分で確認できますので、ダウンロードしておくことをお勧めします。
(ちなみに、アイキャッチ画像のクマの人形は、最大逆日歩を支払って手に入れたヨンドシーの優待品です;;)
なお、SBIや松井証券やカブコムの一般信用取引では、逆日歩は発生しません!
一般信用に人気が集まるのはこのためです。
5)配当落ち調整金
信用売りした場合、配当金相当額を支払う必要があります。
これが配当落ち調整金です。
一般信用の場合、
現物株保有によってもらえる配当金 < 信用売りで支払う配当落ち調整金
となります。これは、配当金は税金が源泉徴収される分、マイナスとなるためです。
ただ、これは特定口座の場合は、年末の譲渡損益と配当金の通算で結果的に還付されますので、結局は相殺されます。よって、資金がギリギリではない方は、あまり意識しなくてもいいかと思います。(年末まで戻ってこないので、資金効率はその分悪くなります。ご指摘ありがとうございました)
ただ、SBIの場合、配当金相当額の余力が拘束されますので、その点はご注意を。
また、制度信用の場合は、若干、配当落ち調整金で徴収される金額より、最終的に通算した後の税引き後の配当金の方が高くなります(つまり黒字)。
配当落ち調整金の詳細については、また改めて記事にしたいと思います…。
最後に…
優待に係わるコスト計算は重要です。
なるべくなら、このあたりを理解しご自分で計算できるようになったうえで、クロス取引(いわゆる優待タダ取り)を楽しみましょう!
なお、コスト計算には、コスト計算機も公開していますのでご活用ください^^